基本を押さえよう!ファクタリングと融資の違い

資金調達を行う方法としては、ファクタリングや金融機関からの融資があげられます。それぞれの特徴を押さえることによって、状況に応じて適切な資金調達を行えるでしょう。経営を安定化させるためには、充分に手元の資金を確保しておく必要があります。しかし、一つの手段だけしかない場合には思うように資金調達が行えず、経営が苦しくなってしまう場合もあるでしょう。ファクタリングと融資の基本的な違いについて、詳しく解説します。

ファクタリングの基本的な仕組み

ファクタリングは資金調達方法の一種であり、売掛金などの売掛債権を専門業者に買い取ってもらうことによって現金化することができます。銀行融資などと異なり、早期に資金調達できる点が大きなメリットです。最短で即日、遅くても数日中には現金化できるため、急に資金繰りが悪化してしまったときに有効な手段となります。ファクタリングの基本的な流れとしては電話やWebサイトから申込を行い、ファクタリング会社の審査を経て算出された買取額が利用者の指定口座に入金される仕組みです。

売掛債権さえあれば、基本的にどんな業種であっても対応してもらえるので、気軽に相談をしやすい特徴があります。また、償還請求権がつかない契約が一般的であるため、将来的な経営リスクを軽減させることもできるのです。償還請求権とは、売掛先が倒産などによって支払い不能に陥ってしまった場合に、債務を弁済することを指します。売掛債権を活用した資金調達方法としては手形割引もあるものの、償還請求権がついているので万が一のときには返済を迫られてしまう可能性もあるでしょう。その一方で、ファクタリングは売掛債権を譲渡した段階で利用者は未回収リスクを負いません。ファクタリングサービスを利用するには一定の手数料が必要となるものの、経営者にとってのメリットは大きいといえるでしょう。

 

ファクタリングと融資のそれぞれの違い

ファクタリングはそもそも借入ではないため、負債が増えることはありません。売掛債権という資産を売却することで現金化する手法なのです。したがって、会社の信用情報に影響を与えることもなく、財務体質を強化できます。その一方で融資の場合は、金融機関からの借入となるので利息を上乗せした形で、定期的に返済を行っていく必要があるのです。業績が落ち込んでしまえば、返済が重荷となってしまって経営そのものを圧迫してしまう恐れもあります。融資を申し込む場合には、将来的な事業の見通しも踏まえたうえで検討していくことが大切です。

また、ファクタリングと融資では審査の基準も異なります。ファクタリングでは売掛債権の信用力が何よりも重視されるのが特徴です。上場企業や政府系機関に対する売掛債権であれば未回収リスクも低くなるので、ファクタリング会社も積極的に買取を行ってくれます。利用者の経営状況や財務内容はあまり問題とならないため、たとえ赤字決算や債務超過に陥っていたとしても審査に応じてもらえるでしょう。税金や社会保険料を滞納していても、分納や延納などの手続きをきちんと行っていれば問題ありません。その一方で、融資の場合は会社の経営状況や財務内容が審査では重視されるので、申込を行っても融資に応じてもらえないこともあります。提出する書類も多く、準備のために時間と労力が必要となる場合も多いでしょう。

一時的な資金繰りの改善であればファクタリングが向いています。一方、設備投資であれば多額の資金が必要となるので融資が向いています。会社の状況や事業の見通しを踏まえたうえで、必要な資金調達の手段を洗濯することが重要です。

 

ファクタリングを活用できるパターン

ファクタリングは資金用途が限定されていないため、さまざまな目的で利用することができます。たとえば、売掛金の入金までのサイクルが長く、仕入などの支払いのサイクルが短い会社がファクタリングの利用に向いているでしょう。賃料や人件費などの固定費は、売上にかかわらず必要となってくるので、入出金のバランスがとれていなければ資金繰りが悪化してしまうものです。売掛債権が定期的に発生している状態であれば、ファクタリングを利用して手元の資金を増やすことが効果的な対策となるでしょう。

資金調達の一つの方法としては銀行融資があるものの、融資を申し込む際に担保や保証人を要求されてしまうこともあります。不動産などの担保がなければ、そもそも申込を行うこと自体が難しくなってしまう場合もあるのです。たとえ、担保や保証人を設定できたとしても、返済が滞ってしまえば不動産を失ってしまったり、経営者が借金を負ったりするリスクもあります。ファクタリングであれば、無担保・無保証で利用可能です。特に担保となる資産がなかったとしても問題ないので、中小企業向きのサービスだといえます。

経営状況が悪化しているときには、何らかの方法で資金調達を行う必要も出てくるものです。しかし、赤字決算や債務超過に陥ってしまっている状態では、金融機関から融資を受けるのは難しくなってしまうでしょう。ファクタリングであれば、たとえ金融機関からの融資を断られてしまったときでも、審査に応じてもらえる可能性があります。迅速に経営を立て直さなければならないときほど、ファクタリングサービスを利用するメリットは大きいのです。

 

ファクタリングに向いている業種

ファクタリングは売掛債権を保有していれば、どんな業種でも利用できるものの、特にサービスの利用が向いている業種もあります。たとえば、1件あたりの工事代金が大きい建築業や建設業ではサービスの利用が活発です。工事が完了して引き渡しを行うまで工事代金を受け取れないため、資本力の弱い中小企業では資金繰りが悪化してしまう場合もあります。人件費や資材購入費をまかなえなければ工事が行えないので、資金調達は重要な課題でもあるのです。また、元請企業が倒産してしまうと連鎖倒産を引き起こしてしまう可能性もあります。ファクタリングを利用することによって資金調達を行いつつ、将来的な経営リスクも取り除いていけるのです。

不動産業では事業を行うために、あらかじめ物件を押さえておく必要があります。不動産は高額であるため、手元の資金が乏しければ魅力的な物件をみすみす見逃してしまう可能性もあるでしょう。また、物件を取得できたとしても買手や借手が見つかるまでは、物件の維持費用や税金も必要になってきます。ファクタリングを行うことによって資金繰りを改善し、ビジネスチャンスを活かしていくことができるのです。競合他社に差をつけるためにも、ファクタリングを積極的に活用してみると良いでしょう。

運送業では、人件費や車両費が経費の大半を占めるといった特徴があります。繁忙期には人材を多く獲得する必要があり、燃料価格が高騰したときに備えて資金繰りを円滑にしておく必要があるのです。運送業界はほかの業界と比べても、ファクタリングを活用している会社が多いのも特徴です。売掛先次第ではあるものの、3社間ファクタリングを比較的行いやすい業界だといえるでしょう。手数料などのコストを抑えて、資金調達できるので、ファクタリングサービスを利用する会社が多いのです。

医療や介護業界では、診療報酬債権や介護報酬債権をもとにファクタリングを利用する機会が多いでしょう。診療報酬や介護報酬は売掛先が公的機関となるので、ファクタリング会社としても未回収リスクが低く、債権の買取に積極的です。安定した債権であるため手数料が低めに設定されている点も、ファクタリングが活発に利用されている理由です。診療報酬や介護報酬は、申請をしてから入金されるまで通常であれば2~3カ月程度かかるものです。その一方で、医師を確保したり最新の医療機器をそろえたりする必要があるため、規模の大きな医療機関であっても資金繰りが悪化してしまう場合もめずらしくありません。ファクタリングを活用することで、経営の安定化につなげられるでしょう。

 

2社間ファクタリングの特徴とメリット

ファクタリングの契約方式には、「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があります。それぞれに特徴があるので、基本的な仕組みを把握したうえで必要な方法を選ぶようにしましょう。

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社との間で契約を結ぶ方式であり、売掛先が契約に直接関与することはありません。売掛先にファクタリングの事実を知られてしまうことがない点がメリットなのです。ファクタリングそのものは合法的なものであり、経済産業省も売掛債権を活用した資金調達を推奨しています。しかし、日本ではまだ馴染みが薄い部分があるので、売掛先によっては誤解を招いてしまう恐れもあるでしょう。「売掛債権を手放さなければならないほど、資金繰りが苦しいのか」といった風評被害を2社間ファクタリングであれば防ぐことができます。売掛先との関係に悪影響が出てしまうのが心配な場合には、2社間ファクタリングの利用が向いているでしょう。2社間での契約では審査のスピードも速いので、最短で即日入金も可能です。手数料は10~30%が一般的な相場となっており、迅速に資金調達を行いたいときに向いています。

2社間ファクタリングでは、利用者が売掛債権を二重譲渡してしまうのを防ぐために、債権譲渡登記を行います。手続きは司法書士に依頼するのが一般的であり、登記費用や印紙代がかかる点に注意しておきましょう。あらかじめ費用の見積もりを出してもらい、手元にどれくらいの資金が残るのかを試算しておくことが大切です。ファクタリングを利用するときの手数料や費用は、買取額から差し引かれるので事前に現金を用意しておく必要はありません。

 

3社間ファクタリングの特徴とメリット

3社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社に加えて、売掛先も契約に関与します。メリットとしては、2社間ファクタリングよりも手数料が割安な点です。売掛先も契約に直接関わるため、ファクタリング会社としても売掛債権の信用調査の手間が省けます。債権の未回収リスクが低くなるので、2社間での契約よりも手数料が抑えられるのです。3社間ファクタリングの一般的な手数料は、1~5%となっています。3社間で契約を結ぶためには、売掛先の承諾が欠かせません。ファクタリング会社によっては売掛先に同行してくれるところもあるので、必要に応じて担当者に相談してみると良いでしょう。ただ、売掛先の承諾が必要となるため、即日で現金化するのは難しい部分もあります。売掛先との関係や資金繰りの状況を考慮したうえで、サービスの利用を検討してみましょう。

3社間ファクタリングでは、売掛先からファクタリング会社に直接代金が振り込まれるので、利用者側の事務的な負担が減らせるメリットもあります。2社間ファクタリングでは、売掛先から振り込まれた売掛金をファクタリング会社に送金する手間もあるのです。契約の段階では手間が多少かかってしまうものの、後から面倒な手続きを行いたくないといった場合にも3社間での契約を考えてみると良いでしょう。

 

代表的なファクタリングの種類とポイント

ファクタリングには2社間や3社間といった「一括ファクタリング」だけではなく、さまざまな種類のサービスがあります。「保証ファクタリング」は売掛債権に対する保険のような位置づけのものであり、債権が未回収となったときに補償を行ってもらえるサービスです。ファクタリング会社とあらかじめ保証契約を結んでおき、一定の保証料を支払うことによって契約期間中は保証が受けられるのです。特に建設業などでは1件あたりの工事代金も高額になりがちであるため、仮に売掛金が回収できなくなってしまったときには経営に与える影響が大きいといえます。保証料の一部を国が助成してくれる制度もあるので、積極的に活用してみると良いでしょう。

「医療報酬債権ファクタリング」は、医療機関や介護施設が保有している診療報酬や介護報酬の請求権をファクタリング会社に買い取ってもらう仕組みです。国保などの公的機関に対する請求であるため債権が未回収となってしまうリスクが低く、手数料も低めに設定されています。一般的な手数料の相場としては0.5~2%となっているので、ほかのファクタリングサービスと比べても割安なのが特徴です。診療報酬や介護報酬は毎月発生するものでもあるので、手元の資金を増やす手段として活用できるでしょう。

「国際ファクタリング」は、ファクタリング会社が商品の輸出債権を買い取る仕組みとなっています。製造業や貿易業であれば、商品を海外に輸出する場合もあるでしょう。船積みした貨物が災害などに見舞われてしまうと、多額の損害を被ってしまう可能性もあります。万が一のときのリスクに備えて、国際ファクタリングを利用することで経営リスクを軽減できるでしょう。

 

ファクタリングを利用するときのデメリット

早期の資金調達や経営リスクの軽減といった面でメリットの多いファクタリングサービスであるものの、あらかじめ注意しておくべき点もあります。まず、ファクタリングを利用するときには売掛先への影響を考慮しておきましょう。3社間ファクタリングの場合、売掛先にファクタリングを行う事実を知られてしまうので、売掛先との関係によっては信用を落としてしまう可能性もあります。アメリカでは100年以上にわたって行われているサービスであるものの、日本ではまだ浸透していないため風評被害を招いてしまう恐れもあるのです。また、3社間での契約では売掛先の承諾も必要となるため、資金調達までに時間がかかってしまう点にも注意しておきましょう。早期に資金調達を行いたいときには、2社間での契約を進めたほうが無難です。

ファクタリングサービスを利用するためには、ファクタリング会社に所定の手数料を支払う必要があります。そのほかにも、債権譲渡登記の費用なども必要となるので、売掛債権の全額が入金されるわけではありません。さらに、出張査定を依頼する場合には交通費なども負担することになるため、サービスを利用するときにはどれくらいの費用が必要になるのか把握しておきましょう。手数料は業者によって異なるので、複数の業者に見積書を出してもらうのも一つの方法です。相見積もりを行うことによって、自社にとって最適な業者を見つけるきっかけにもなるでしょう。ただ、単に手数料の面だけを見るのではなく、サービス内容と照らし合わせたうえで総合的に判断していくことが大切です。

ファクタリングを利用すると手元の資金は増えるものの、本来入金されるはずだったタイミングでは現金が不足してしまう可能性があります。ファクタリングによって短期的な資金繰りは改善しても、中長期的には資金繰りが悪化してしまうケースもあるのです。サービスを利用する際には、今後の事業の見通しも立てたうえで判断することが重要です。また、必要に応じてファクタリングだけでなく、ほかの資金調達方法も検討しておくことも大切です。時間的な余裕があるときに、複数の資金調達方法を検討しておくことで、いざというときの備えになります。ファクタリングの基本的な仕組みを理解したうえで、デメリットをどう補っていくのかを考えておくと良いでしょう。

 

優良な業者を見極めるためのコツ

ファクタリング会社は数多くあるので、意識的に優良な業者を見つけていく必要があります。よく検討しないまま業者と契約してしまうと、後から思いがけないトラブルに巻き込まれてしまう恐れもあるからです。業者のなかには不当な手数料を請求してきたり、契約内容を勝手に変更したりする業者もいます。また、ファクタリングだと装って違法な金利で貸付を行うヤミ金業者もいるのです。そうした悪徳業者に引っかかってしまわないためにも、優良な業者を見極めるポイントをしっかりと押さえておきましょう。

まず、契約書や見積書をきちんと発行してくれて、その内容について丁寧に説明してくれる業者を選ぶことが大事です。ファクタリングは商取引なので、契約書の内容を正しく理解しておくことは重要だといえます。業者のなかには利用者がファクタリングの知識に乏しい点につけ込んで、不当な契約を結ばせようとしてくるところもあるからです。契約書の控えを手渡してくれなかったり、契約内容の説明を曖昧に濁したりする業者とは契約しないようにしましょう。特に悪徳業者と契約してしまった場合、契約書が手元にないと訴えることも難しくなってしまうので注意が必要です。必要に応じて、司法書士などの専門家に立ち会ってもらうなどして、トラブルを未然に防ぎましょう。

見積書の項目や金額についても、よくチェックしておく必要があります。手数料の相場が一般的な水準のものであり、明細をきちんと出してもらえる業者を選ぶことが大切です。また、ファクタリングは非課税取引であるため、消費税を請求してくる業者には注意しておきましょう。ファクタリングの手数料は法律で決まっているものではないものの、優良な業者であれば相場の基準内に収まるものです。30%を超える手数料を要求してきたり、相場よりも異様に低い水準で手数料を設定したりしている業者には気をつけるようにしましょう。ファクタリングでは、契約時にあらかじめ現金を用意しておく必要はありません。売掛債権の買取額から手数料や諸経費が差し引かれた金額が振り込まれるからです。明確な理由もなく、契約前に現金を要求してくるような業者の利用は控えたほうが良いでしょう。

ファクタリングサービスを利用するときには、業者の実態を確かめておくことも大切です。ホームページなどを通じて会社の所在地や電話番号、これまでの実績などを確認してみましょう。また、Web上での口コミや評価なども参考にしてみるのも一つの判断基準となります。「事務所への訪問を断られてしまう」「いつも個人の携帯番号から連絡がくる」といった場合には、悪徳業者である可能性が高いので警戒が必要です。少しでも不審に感じた場合は契約を進めるのを控え、速やかに専門家に相談することをおすすめします。

 

融資との違いを押さえて有効活用しよう

ファクタリングを利用することで、早期に資金繰りを改善できます。金融機関からの融資とファクタリングの違いをよく押さえたうえで、効果的に活用していくことが大切です。また、ファクタリングの基本的な仕組みを理解して、悪徳業者にだまされないように注意しましょう。優良な業者を見つけるためには、初めから1社に絞ってしまわずに複数の業者を比較することが重要です。問い合わせをしたときの応対の様子などを確認して、自社に合った最適な業者を見つけましょう。単に手数料の安さだけで選んでしまうのではなく、サービス内容と比較をして総合的に判断する必要があります。不明な点や疑問点は曖昧なままにせず、納得がいくまで担当者に尋ねることを心がけましょう。