二重譲渡は禁止?ファクタリングの禁止事項について知りたい

ファクタリングを利用した資金調達は銀行融資のように厳しい審査があったり、担保・保証人を求められたりしないため、中小企業などでも活用しやすいものです。また、法律による規制も少ないため、サービスの種類も豊富である点も特徴です。企業の需要に合わせて活用できるファクタリングサービスですが、禁止されている行為もあるため注意が必要です。今回は、ファクタリングを活用する際に知っておくべきリスクや禁止事項について解説します。

ファクタリングのシステムについて解説

ファクタリングとは企業が資金調達するための手法の一つであり、主に「売掛債権」の現金化のことを指します。事業者間の取引において、代金よりも先に商品・サービスの提供を行うケースは少なくありません。このとき、商品を納入した事業者は、納入先に対して「売掛金」を保有する状態となります。売掛債権は売掛金を請求する権利のことです。一般的に、売掛金は両者の間で決めた精算日に支払われるものです。そのため、どれだけ売上を伸ばしたとしても、精算日までは売掛金を自由に利用することができません。しかし、ファクタリングサービスを活用すれば、売掛債権を早期に現金化することが可能です。ファクタリング会社は、支払いが数カ月後の売掛債権についても買取に応じてくれます。早期に資金繰りを改善したいときなどに、ファクタリングは大きな役割を発揮するのです。

 

ファクタリングの5つのリスクとは

ファクタリングを利用するときには、押さえておきたい5つのリスクがあります。「デフォルトリスク」は、売掛先が倒産をしてしまうことで資金が回収できなくなってしまうリスクです。ただ、利用者側はファクタリング会社と償還請求権のない契約を結んでおくことで、返済の義務を負わないため心配はいりません。「フロードリスク」は、不正取引が行われてしまうリスクのことです。売掛債権を二重譲渡するといった法律違反の行為であり、それを防ぐためにファクタリング会社は債権譲渡登記を行います。「ダイリューションリスク」は売掛債権が希薄化するリスクのことです。ファクタリング会社が売掛債権を購入した後に、その債権の価値が下がってしまうことを指しています。
「コントラリスク」は、流動化の対象となっている債権(売掛金)と売掛先が企業に対して所有している債権(買掛金)が相殺されるリスクです。これによって、債権の金額が減少してしまうというデメリットがあります。そして、「コミングリングリスク」はもともと債権を保有していた企業が、売掛先が支払った債権の代金をほかの目的に流用してしまうリスクです。コミングリングリスクがあるため、特に2社間ファクタリングの場合ではあらかじめ手数料が高くなっているのです。そして、利用者は売掛先から入金があったら、速やかにファクタリング会社に送金するという内容が契約書に盛り込まれるのが一般的でしょう。これらの5つのリスクは契約内容にもよるものの、基本的にはファクタリング会社が負うことになります。したがって、ファクタリングを利用する側にとっては経営上のリスクを減らせるというメリットがあるのです。

 

ファクタリングを契約する時の注意点

ファクタリングによる売掛債権の現金化は、事業者にとって資金繰りを改善する方法として便利なものです。しかし、ファクタリングサービスを受けるときには、売却する売掛債権に「債権譲渡禁止特約」が存在するかどうかを確認する必要があります。債権譲渡禁止特約が付いている場合、その売掛債権を売掛先の承認なしで売却することはできません。この場合は、売掛先との協議が必要な「3社間ファクタリング」のみが利用可能となります。
また、売掛債権の譲渡において「二重譲渡」は決して行ってはいけません。二重譲渡とは、同一の売掛債権を2社以上のファクタリング会社に売却する行為です。これは違法行為であり、詐欺罪に問われる可能性があります。債権は目に見えるものではありませんが、売買が成立する点において、一般の商品と変わりありません。二重譲渡とは、一つしかない品物を2人の人間に売る約束をするものです。事業資金を調達するために違法行為をするのは本末転倒ですから、ファクタリング利用時には二重譲渡にならないように、あらかじめチェックしておきましょう。

 

その他にも悪用とみなされる行為がある

ファクタリングの悪用とみなされ、犯罪になる行為はほかにもあります。売掛債権をファクタリング会社に譲渡したあとで、売掛先を計画的に倒産させる行為は犯罪に問われる可能性があります。ファクタリング会社は、買い取った売掛債権が回収不能になるリスクを背負う代わりに、手数料などによって利益を得ています。しかし、売掛先を計画的に倒産させて売掛債権の回収を不可能にする行為はファクタリングの悪用ですから避けなければいけません。また、架空債権を用いたファクタリングは二重譲渡と同様に犯罪行為となります。本来は存在しない売掛債権を偽造するわけですから、ファクタリング会社に対する詐欺行為となります。架空債権が存在していない事実は、売掛金の精算日になれば必ず発覚するものです。ファクタリングはあくまで、事業者の資金繰りを改善するためのサービスであり、存在しない資金を生み出すものではありません。
なお、売却した売掛債権を利用する行為も業務上横領にあたります。たとえば、ファクタリングによって債権を失った売掛金と相殺する形で、取引先から商品を仕入れるといった行為です。2社間ファクタリングの場合、売掛先には売掛債権を売却した事実は知らされないため、こうした横領行為も可能になります。しかし、これも売掛金の支払日になれば悪用が必ず発覚するため、罪に問われてしまうでしょう。法律に反する行為をすれば、リスクは計り知れないものになりますから注意が必要です。

 

ファクタリングを活用する時は禁止事項に注意しよう

ファクタリングは、銀行融資などと比べて法的な規制が少ないため、自由なサービスの提供や利用方法があるでしょう。しかし、どれだけ自由であったとしても、禁止されている行為があることは忘れてはいけません。また、悪用することで利益を得ようとすれば、法律によって罰せられる可能性もあります。経営の安定化のためにファクタリングを活用することが大切ですから、きちんと禁止事項などをチェックして、正しい利用方法を守るように心がけましょう。