ファクタリングと電子手形は何が違う?それぞれの特徴は?


資金調達手法の一つとして知られるファクタリングは、売掛債権を売却して支払期日前に現金化するサービスです。一方、電子手形とは従来の手形を電子的に管理し、必要に応じて支払期日前に譲渡することで融資を受けられるというものになります。債権という面で見ると、ファクタリングと電子手形は同じものだと感じるかもしれませんが、異なるものです。ここでは、ファクタリングと電子手形の違いや共通点を詳しくみていきましょう。

ファクタリングサービスとは一体?

ファクタリングとは、売掛債権を期日よりも前にファクタリング業者に譲渡し、資金調達をする方法です。企業が物品販売やサービスの提供を掛取引で行うと、売掛債権が発生します。売掛債権は支払期日が来て、実際に支払いが行われるまで現金化されません。しかし、ファクタリングサービスを利用することで、支払期日より前に現金を調達することができます。資金繰りが厳しい企業にとっては、売掛債権を活用して資金調達できる便利なサービスです。売掛債権を譲渡する際には、ファクタリング手数料が引かれた債権分の金額が入金となります。
ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、それぞれ手数料相場が異なります。ファクタリング業者とファクタリング利用会社だけで契約を結ぶ方法が2社間ファクタリング、売掛先の承諾を得たうえで契約を結ぶ方法が3社間ファクタリングです。一般的には、3社間ファクタリングよりも2社間ファクタリングのほうが、手数料が高く設定されます。手数料の相場は、2社間ファクタリングが10%~30%、3社間ファクタリングが1%~5%程度です。電子手形は売掛先に譲渡する旨を伝えるため、3社間ファクタリングに近いサービスといえます。

 

電子手形ってどういうものなの?

電子手形とは、電子記録債権法に基づいた決済サービスです。このサービスを利用して、電子手形割引・電子手形譲渡・期日決済・分割割引・分割譲渡など、さまざまな債権取引を行うことができます。電子記録債権法に基づいた決済サービスのことを「でんさい」とも呼びます。
電子手形は、従来の手形や売掛債権の問題点を解決するために誕生しました。というのも、従来の手形や売掛債権では、支払事務や保管に手間や費用がかかります。さらに、紛失や盗難のリスク、二重譲渡のリスクなどもあります。電子手形はこういった問題点を解決できるサービスです。とはいえ、手形を単に電子化しただけのものではなく、従来の手形とは違う金銭債権の一種として存在しています。
電子手形を利用するには、でんさいネットへの加盟が条件です。企業はでんさいネットを通じて、債権の管理や支払い、譲渡などをパソコンとインターネットを使い、迅速に行うことができます。また、企業はインターネットで電子手形の売買を行い、支払期日前に換金することも可能です。通常の手形と比べて、コストも時間もかかりません。

 

ファクタリングと電子手形の相違点

ファクタリングと電子手形は、売掛金を早期に現金化できるという点では似ているサービスです。しかし、扱っている債権は異なります。電子手形で扱っている債権の種類は電子記録債権、ファクタリングは売掛債権です。電子記録債権と売掛債権は別のものとして取り扱われます。
また、売掛債権に比べ、電子記録債権を取り入れている企業は少ないのが現状です。そもそも、電子記録債権を登録するには、でんさいネットへ加盟することが条件となります。でんさいネットは全国銀行協会が設立した全銀電子債権ネットワークのことで、登録するには厳しい審査を通過しなければなりません。そのため、中小企業の利用は少ないのが実情です。
さらに、ファクタリングと電子手形は債権の保証面でも違いがあります。手形を発行している会社が倒産した場合の支払い義務の有無が異なるのです。ファクタリングで債権を譲渡した場合、万一売掛先が倒産しても利用会社に支払いの義務はありません。しかし、電子手形の場合は支払いの義務を負うことになります。ファクタリングを利用することで、倒産した場合のリスクを回避することができます。

 

ファクタリングと電子手形の共通点

ファクタリングと電子手形には共通点もあります。その一つは、売掛債権を受け取った企業は債権を譲渡できるという点です。ファクタリングを利用した場合は、ファクタリング会社が売掛債権を買い取ることで現金が支払われます。債権を譲渡すると、受け取り企業は支払い期日よりも前に現金を受け取れるという仕組みです。また、電子手形の場合も、債権をほかの企業への支払いに回すことで、決済に利用することが可能です。
電子手形は債権の支払い期日が来ると、支払い企業の口座から資金を引き落とされ、決済されることになります。システムによって自動的に手続きがされるという仕組みです。ファクタリングの場合は、3社間ファクタリングでは売掛金は売掛先から直接ファクタリング会社へ入金となります。2社間ファクタリングの場合は、売掛先へ通知を行わないため、売掛金はファクタリング利用会社へ支払われます。入金後、利用会社は譲渡した売掛債権の金額分をファクタリング会社へ戻すことでファクタリングが成立するのです。売掛先へ通知し、直接資金が決済されるという点では、3社間ファクタリングのほうが電子手形に近いといえます。

 

ファクタリングと電子手形はどちらを選ぶべき?

ファクタリングと電子手形には相違点はあるものの、どちらも債権の支払い期日前に現金化できるという点では同じです。では、どちらを利用すべきなのでしょうか。それぞれの特徴を理解し、自社の状況や希望に合わせて最適なほうを選びましょう。
選ぶ際のポイントとして、債権が回収できなかった場合のリスクを考えることが大切です。電子手形には不渡りになった場合のリスクがありますが、ファクタリングにはありません。債権回収のリスクを避けたい場合には、ファクタリングのほうがおすすめです。
電子手形はでんさいネットで利用できる金融機関の口座を持っている企業間なら、スムーズに手続きが可能です。一方、ファクタリングの場合は、新たな企業と取引をするたびに契約を締結する必要があるため手間がかかります。とはいえ、電子手形を利用するには、でんさいネットを利用できることが条件となります。そもそも、売掛先がでんさいネットに登録していない場合は利用できません。
また、債権譲渡を売掛先に知られたくない場合は、電子手形ではなく2社間ファクタリングがおすすめです。2社間ファクタリングなら、売掛先に債券譲渡を知られることなく資金調達することができます。

 

ファクタリングと電子手形は全く異なるもの!

ファクタリングと電子手形は似たものに思えても、実際には紹介してきたような違いがあります。自社に合った資金調達の方法を選ぶには、それぞれの特徴や違い、共通点をよく理解しておくことが重要です。利便性を考えるのなら電子手形、不渡りリスクを避けたいのならファクタリングといったように適切な方法を選びましょう。