ビジネスローンとファクタリングの違いとは?それぞれの特徴

会社経営者や個人事業主は、事業を進めていくうえで適切なタイミングで資金調達を行うことが求められます。資金調達にはさまざまな方法がありますが、なかでもビジネスローンは活用されることが多い資金調達方法です。ファクタリングを利用して早期に資金繰りを改善したいと考えている経営者は、ファクタリングの仕組みや特徴を知ることが大切になります。そのためには、よく利用されているビジネスローンと比較すると理解しやすいでしょう。そこで、ファクタリングとビジネスローンの相違点や共通点などについて解説します。

経営者や個人事業主向けの資金調達方法を紹介!

会社経営者や個人事業主にとって、資金調達は経営を順調に進めていくうえでの重要な課題です。さまざまな状況下での資金需要に対応できるようにするためには、複数の資金調達方法を知っておく必要があります。会社経営者や個人事業主が利用できる主な資金調達方法は、5つあります。

1つ目は、銀行融資です。銀行融資を受ける際は、担保や保証人が求められます。そのうえで、審査に通過することが必要です。審査に通過すると融資を受けられますが、元本の返済と合わせて利子の支払いも必要になります。銀行融資は、企業の資金調達方法のなかでも利用されるケースが多い方法です。ただし、必ず融資を受けられるとは限りません。資金繰りが苦しい中小企業などの場合は、審査に通過することができず、融資を受けられないこともあります。

2つ目は、不動産担保ローンです。不動産担保ローンを利用する場合は、その名称通り、土地や建物などの不動産を担保として融資を受けることになります。不動産担保ローンは、銀行でも取り扱いがありますが、銀行とは異なる金融機関である貸金業者も取り扱っていることが特徴です。貸金業者とは、預金を預からずに貸付業務だけを行う金融業者のことをいいます。貸金業を行う場合は、金融庁への登録が必要です。

3つ目は、ビジネスローンです。主に貸金業者がビジネスローンサービスを提供しています。企業向けに特化した融資であることが特徴です。審査に関しては、銀行融資における審査ほどは厳しくないといわれています。そのため、銀行融資が受けられない状況だったとしても、貸金業者が取り扱っているビジネスローンであれば審査に通って融資を受けられる可能性もあるでしょう。ビジネスでの利用である限り、資金の使途に関してはほとんど制限がないのが一般的です。

4つ目は、ファクタリングです。ファクタリングは、売掛取引によって生じた売掛金をファクタリング会社に譲渡することによって資金を調達します。売掛金の入金予定日よりも前にファクタリングを利用すれば、早期の現金化が可能です。売掛金譲渡によって受け取る資金は、融資ではなく売買取引による売却代金という扱いになります。

ただし、売掛金の額面通りの金額を受け取ることはできません。売却代金からはファクタリング手数料が差し引かれることになり、手取り額は売掛金の額よりも少なくなります。ファクタリングを利用する際にも審査は必要です。ファクタリングでは、売掛先会社が支払いを予定通り行わないと、ファクタリング会社は買い取った売掛金代金として売掛金譲渡会社に支払った資金を回収できません。売掛金未回収のリスクを低減させるために、審査の中心は売掛先会社の信用度になります。また、担保は必要ないため審査項目は限られます。そのため、審査に通りやすいことがメリットです。

5つ目は、売掛債権担保融資です。売掛債権担保融資では、売掛金などの売上債権を担保として提供して融資を受けることになります。売上債権を活用しているという点ではファクタリングと同じです。しかし、売掛債権担保融資はファクタリングのような売買取引ではなく、融資取引に該当することが特徴です。

 

ビジネスローンとファクタリングの2つの違い

ビジネスローンとファクタリングのうち、どちらの資金調達方法を選択するかについて迷った場合は、2つの違いを理解しておくことで適切な選択ができるようになるでしょう。ビジネスローンとファクタリングには、主に2つ違いがあります。

1つ目の違いは、融資か譲渡かの違いです。ビジネスローンは融資取引であるのに対して、ファクタリングは売買取引になるという点が異なります。ビジネスローンを利用して貸金業者などから借りることによって、手持ちの資金を増加させることが可能です。融資が決定される前には、融資を受ける会社の財務状態などが審査されます。融資を受けるためには審査に合格することが必要です。審査結果によっては融資を受けられない可能性もあります。ビジネスローンの契約時には、融資金額や返済期間、適用利率などが決まります。返済義務が生じることと、利子の支払う負担が生じること、さらに担保などを提供することが融資取引の特徴です。

一方、ファクタリングは、融資取引ではありません。売掛金をファクタリング会社に譲渡する売買取引です。ファクタリングで得る資金は、売却した売掛金の代金であるため、返済義務は生じません。また、利子の支払いも不要です。ただし、ファクタリング手数料を負担する必要があります。ファクタリング手数料は、売買取引により生じるものです。そのため、会計上は、ファクタリング手数料を売却損として処理することになっている点も、ビジネスローンとの相違点です。

2つ目の違いは、負債が増加するかどうかです。ビジネスローンを利用すると、融資を受けた資金分は現預金残高が増加します。しかし、増加するのは現預金だけではありません。将来返済義務がある負債としての借入金も同額増加することになります。借入金の増加は、負債比率の上昇を招き、貸借対照表関連の経営指標の悪化につながることがデメリットです。負債比率などが上昇すると、将来的に金融機関から融資を受ける場合に不利になる可能性があります。

一方、ファクタリングを利用した場合は、融資取引ではなく売買取引であるため、負債は増加しません。売掛金という資産の減少と未収金の増加が同時に起こり、未収金はすぐに現金に変化します。結果的には、異なる種類の資産残高が入れ替わるだけです。そのため、ビジネスローンのように負債が増加することはありません。また、ファクタリングによって売掛金を手放すことは、貸借対照表のオフバランス化を進めることにもつながります。ファクタリングによって得た資金で返済を進めれば、オフバランス化を進めながら負担比率を下げるなど、貸借対照表に関連する経営指標を改善することも可能です。

 

ビジネスローンとファクタリングの4つの共通点

ビジネスローンとファクタリングには、相違点だけでなく共通点もあります。共通点についても理解しておくことで、それぞれの資金調達方法の特徴をより深く理解することが可能です。主な共通点は、4つあります。

1つ目は、ビジネスローンとファクタリング、いずれも銀行融資を受けられない場合でも利用できる資金調達方法だということです。銀行から融資を受けるにあたっては、自社の経営成績や財務状況が融資を受けられるかどうかに大きく影響します。財務状況などが悪ければ審査に通らず、融資を受けられません。しかし、銀行からの融資を受けられなかったとしても、ビジネスローンの審査は通過できる可能性は残っています。また、ファクタリングは、売掛金を保有していれば利用できる可能性が高い資金調達方法です。銀行からの融資を受けられなくても、譲渡可能な売掛金さえあれば、短期的に資金調達を行うこともできます。

2つ目の共通点は、審査に通りやすく資金調達がしやすいことです。銀行から融資を受ける場合だけでなく、ビジネスローンを利用する場合やファクタリングを使う場合も審査を受けます。しかし、ビジネスローンにおける審査は、銀行の融資審査よりも条件が緩和されていることが多く、銀行融資がだめでも利用可能です。ただし、ビジネスローンを借りた場合は返済義務が生じますので、融資を受けたあとの返済期間中における資金繰りまで想定して利用することが大切です。

また、ファクタリングの利用時も審査は行われます。審査は、主に売掛先会社の信用度の高さです。売掛金の決済が行われないことがファクタリング会社にとっても最大のリスクになります。そのため、売掛先会社に関する審査は避けられません。しかし、それ以外の審査項目は、銀行融資やビジネスローンと審査と比較すると条件は緩和されています。入金の確率が高い売掛金を選んで、ファクタリングを利用するようにしましょう。

3つ目の共通点は、使途制限がないことです。融資の種類によっては、受け取った資金の使途を厳しく制限されることもあります。公的融資制度を利用する場合は、申請した目的以外に融資を受けた資金を使えないのが一般的です。銀行から融資を受ける場合も、申し込み時に銀行に対して説明を行った通りの使い方をすることが求められます。しかし、ビジネスローンやファクタリングを利用する場合は、資金の使途までは問われず自由な用途に使用することが可能です。ビジネスで使用する限りは、運転資金に充当するか設備投資資金として使用するかなどについては、そのときの状況に応じて自由に判断できます。

4つ目は、銀行融資や公的融資制度と比較すると、金利や手数料などのコストが高くなることです。ビジネスローンやファクタリングは、審査にも通りやすく資金の使途にも制限がかからない分、コストが高く設定されています。ビジネスローンであれば適用金利、ファクタリングであればファクタリング手数料が高くなり、利用者のコスト負担は大きくなるのが特徴です。ただし、ファクタリングに関しては、3社間ファクタリングを利用すれば手数料は1~5%程度に抑えることができます。

 

利用すべきはビジネスローン?ファクタリング?

ビジネスローンとファクタリングの両方が利用できる状況にある場合、どちらを選択するべきか迷うでしょう。それぞれの特徴は違うため、より特徴を活かせるほうを選択することが大切です。ビジネスローンを利用したほうがよいケースとしては、比較的手数料が安い2社間ファクタリングよりもさらに低いコストでビジネスローンを利用できる場合があげられます。一般的には、ビジネスローンよりも2社間ファクタリングの手数料は高くなることが多いです。そのため、ビジネスローンの審査に通り融資を受けられる場合は、ビジネスローンの利用を優先したほうが、低コストで資金調達できることにつながります。

一方、ファクタリングの利用を優先したほうがよい場合もあります。ファクタリングが適しているのは、銀行融資だけでなくビジネスローンの利用もできない状況の場合です。ビジネスローンも審査があるため、融資を断られる可能性はあります。財務状況が相当悪く、提供する担保もないとなると、ビジネスローンの審査に通らないことがあり、融資は受けられません。しかし、ファクタリングであれば自社の財務状況が悪く提供する担保がなくても、信用度が高い売掛先会社に対する売掛金を保有していれば、ファクタリングの利用ができる可能性は高いです。資金調達の最後の砦として利用を検討してみるのも選択肢の1つといえるでしょう。

また、ファクタリングを利用する場合は、負債を増やさずに資金調達できるメリットがあります。近い将来において銀行からの融資を受ける予定があるなどの場合は、負債を増加させることは避けたほうがよいでしょう。負債比率の上昇は、自社の信用情報にマイナスに働きます。そういった場合に資金が必要なときは、ファクタリングを利用して資金調達を行えば、信用情報に影響を与えずに資金を手にすることが可能です。

 

それぞれの特徴やメリットを理解して使い分けよう

ファクタリングとビジネスローンは、ともに財務譲許や経営状況が思わしくなく銀行からの融資が受けられない状況であったとしても利用できる可能性がある点で共通しています。しかし、異なる点があることも認識しておくことが重要です。ビジネスローンを利用できる場合は、ファクタリングよりもコストを抑えられる可能性があるため、コスト低減を重視する場合はビジネスローンの利用を優先したほうがよいでしょう。また、ビジネスローンが利用できない場合であっても、一定の信用度がある売掛先会社に対する売掛金を保有している場合はファクタリングの利用が適しています。さらに、信用情報の悪化を避けたい場合もファクタリングの活用は有効です。それぞれの特徴を踏まえて、状況に応じて使い分けるようにしましょう。