どちらを利用すべき?売掛債権担保融資とファクタリング

事業を進めていくうえでは、運転資金が欠かせません。運転資金を調達する代表的な方法は、金融機関から融資を受ける方法です。しかし、資金調達方法は銀行融資だけではなく売掛債権担保融資やファクタリング、手形割引など、さまざまな方法があります。経営者としては、複数の資金調達方法について理解しておくことが必要です。今回は、売掛債権担保融資、ファクタリング、手形割引それぞれの特徴やメリット、違いなどについて解説します。

経営の安定には資金調達がポイント

安定した経営を行っていくためには、適切な資金調達ができる体制を整えておくことが必要です。継続取引がある顧客を確保している場合であっても、商品の納品時やサービス提供完了と同時に売上代金を受け取れる現金取引は多くありません。取引先によっては何カ月も先に支払いが行われることもあります。その間、製造業であれば次の売上のために仕入れを行い、人件費・そのほかの経費の支払いを進めていくことが必要です。また、サービス業など原材料仕入れが発生しない業種であっても、人件費や光熱費、その他経費の支払いを行うことになります。「支払いが先」「回収はあと」になるため、常に資金が必要です。

支払いを進めるための資金がなくなってしまうと事業を継続することはできません。健全に経営を進めるためには、適切な資金調達を行う必要があります。時には融資を受けることも必要です。経営者は、資金繰りが破綻することがないよう常に資金調達手段を確保しておくことが求められます。

 

運転資金と設備資金の範囲の違い

融資を受けるにあたっては、資金の使途が問われます。具体的には、「運転資金に充当する資金か」「設備投資のための資金か」を決めて、融資を受けることが必要です。融資を受ける際には、審査のポイントなどが異なります。それぞれ、どんな性質なのかを理解したうえで、資金調達の交渉に臨む必要があるでしょう。運転資金とは、仕入れから販売までの通常の営業サイクルの過程で必要となる資金のことです。原材料などの仕入れ代金や、人件費、事務所賃貸料、光熱費、広告宣伝費、外注費、税金などが含まれます。融資限度額は低めに設定されることが多く、返済期間も短めになることが特徴です。

融資を受ける際には、事業規模に応じた融資額になることや利益が確保できていることなどがポイントになります。起業時の融資にあたっては、事業が軌道に乗るまでの期間として3カ月程度をベースに融資額の計算が行われることが多いです。設備資金とは、土地や建物、設備、パソコン・計測器・備品などの固定資産購入のための資金のことです。賃貸の場合は入居費用が該当し、事務所の改修費なども含まれます。固定資産は高額になることが多く、融資額は多額になり返済期間も長めになるのが一般的です。購入後、資産が残ることもあり、運転資金よりも借りやすいことが特徴です。融資審査においては、投資したものの採算性が問われることが運転資金の審査との違いといえます。

 

売掛債権担保融資の特徴とメリット

金融機関からの融資を受ける以外の主な資金調達方法は3つあります。1つ目は、売掛債権担保融資です。売掛債権担保融資とは、将来発生する見込みの売掛債権を担保にして資金を借りる資金調達方法のことです。担保として提供する売掛債権は、返済中に取引を中止できないことはもちろん、債権を譲渡することもできません。融資を受ける際には担保の審査も行われます。審査内容は、不動産担保の場合とほとんど同じで、換金価値がポイントです。

売掛債権担保融資を行う際に対象とする売掛債権は、継続的に取引がある取引先に対する債権が有利になります。できれば、複数の売掛債権があることが理想的です。大口の受注が決まれば、将来発生する売掛金を担保にして融資を受けられるため、材料調達や外注費支払いをスムーズに進められるなどのメリットがあります。

 

ファクタリングの特徴とメリット

2つ目は、ファクタリングです。ファクタリングは、すでに発生している売掛金をファクタリング会社に譲渡して、譲渡代金を受け取る形で資金調達を行います。すでに納品して代金の回収を待つだけの状態である権利を譲渡することになるため、買い取る側のリスクも少なく買い取ってもらいやすいということが特徴です。売掛金の支払い時期が数カ月先になる場合でも、ファクタリングを利用して売掛金を売却すれば、資金回収時期を前倒しすることが可能になります。

また、受け取る資金は資産の売却代金であるため返済する必要もありません。ただし、ファクタリングを利用する場合、売掛金売却代金から手数料が差し引かれる仕組みになっています。そのため、売掛金の全額は回収ができません。しかし、早期に現金化できることがメリットです。

 

手形割引とファクタリングの違い

3つ目は、手形割引です。ファクタリングと似ている点もあり混同しやすいため、特徴を正しく認識しておくことが大切になります。手形とは、売買代金の支払いを約束する証書のことです。手形には、約束手形や為替手形、小切手、電子手形などの種類があります。手形割引とは、手形を保有している人が、約束された支払日の前に金融機関などに持ち込み現金化する資金調達手段のことです。現金化に際しては、手形を持ち込む金融機関などに対して割引料と呼ばれる手数料を支払う必要があります。

ファクタリング・手形割引は、いずれも取引が完了して請求書発行が済んでいる確定債権を対象とする点は同じです。異なる点は、ファクタリングで受け取る資金が資産売却代金であり融資ではないのに対して、手形割引で受け取る代金は実質的に融資を受けたことになる点です。割引を受けた手形の決済が行われなかった場合は、手形代金を手形割引を受けた金融機関に対して支払う義務があります。

 

売掛金の現金化でスムーズな資金調達

資金調達には、金融機関からの融資を受けるだけでなく、売掛債権担保融資やファクタリング、手形割引など複数の方法があります。経営者としては、資金が必要になった場合に備えて、スムーズに資金調達ができるように準備しておくことが必要です。ファクタリングは、売掛金回収日までに相当な期間がある場合に、前倒しで現金化できるメリットがあります。スムーズに資金調達を行う選択肢の1つとして利用を検討してみましょう。ファクタリングの利用は、早期現金化を実現し安定した経営を進めることにつながることが期待できます。